第十七章 ポリーニ19mmキャブセッティング編 その1


簡単に出るだろうと思っていたセッティング。それがこんなに苦労することになるには・・・

 

吹け上がりが悪い=ガスが薄い。

 

私は何の疑問もなくそう考えました。翌日ナッ●スでメインジェットの#87・89・92・94を調達しました。一個540円で合計2,160円です。自宅に戻り、さっそく#92に交換しました。ジェットを大きい番手から試すのは基本です。

 

試走の結果・・・・ますます吹け上がりが悪く、最高速度はやはり50キロです。


そこであることに気が付いたのです。
ガスが薄いのではなく、濃いのだ・・・・

 

吹け上がりが悪いと思っていたのは、カブっていたのです。(私はバカです)私は19mmキャブを取付ける際、ネットで19mmキャブ交換、スポーツファンネル取付けに関する記事を読み漁っていました。そこでは大概、メインジェットの番手は上がるとの記事を読み、すっかり勘違いしてしまったのです。

 

そこでキットに付属していた#74に交換します。ところが・・・それでもおもいっきりカブってます。更に私の持っている一番小さい#70を取付けました。#74にくらべ若干キビキビ走るようになったものの、やはりカブっている状態です。

 

メインジェットを交換→試走→交換→試走、これを繰り返しているとき事件はおきました。


私の妻は普段は自宅で仕事をしていますが、たまに仕事のため外出します。
その日は妻の実家での仕事で、午後3時に外出する予定でした。私は三度目のジェット交換を終え、近所をひと回りして家に戻ってきました。

再度ジェットを変えてみようと
キャブレターを外し、家に入ろうとドアノブを回すと鍵がかかっています。そのときの推定時刻午後2時50分。どうやら妻は出かけたようです。


鍵を開けようと、ポケットを探しますが・・・がありません。

私は部屋の中に家の鍵を置き忘れ、閉め出されてしまったのです。
家を出たばかりでは?と駅に向かう通りに出てみましたが姿はありません。走って駅まで追いかけようとも思いましたが、この日の気温推定35℃。とても走る気になれません。

私は取り外してしまったキャブを、F1のピット並みのすばやい作業で組み(推定時間2分)妻を駅まで追いましたが、結局妻を見つけることはできませんでした。

 

仕方なく自宅に戻り、どうしようか考えます。もしかしたら窓側の鍵が空いているのではないかと、塀を乗り越え確認しましたが、しっかり鍵は閉まっていました。しかも、塀を乗り越えたときに足をくじき、足がじんじんします。

 

痛い足を引きずり、ポケットを探り所持金をチェックすると・・・・12円(さっき牛乳を買ったお釣り)

 

ここで冷静に今おかれている状況を把握します。

 

・所持金12円、おまけに携帯電話、煙草も持っていない。免許証もない・・・
・妻の帰宅はおそらく午後9時以降
・気温35℃、晴天

・ベスパのガソリン残量、推定0.5リットル。すでにリザーブ状態で
 ツールボックスを外してしまったので、オイルもない
・きわめて薄いガスのキャブセッティング

・短パンにTシャツという極めてラフな格好

・ぼうぼうに伸びた無精ひげ(普段は仕事で人に会う時以外あまりひげをそりません)

 

この状況で私の考えた行動は・・・

 

1.妻の実家にTシャツ短パンひげぼうぼうで行く(しかし妻の実家までの距離約15km、ガソリンが不安)

2.ネカフェで妻の帰りを待ち、帰った頃を見計らって命の綱の10円で自宅に電話し、

 お金を持ってネカフェに迎えに来てもらう。(妻の携帯の番号は覚えていない)

3.近所の公園の水を飲みながら水分を補給し、妻の帰りをじっと待つ
4.近所の友人の家に行く(しかし平日で99%留守)
5.警察に行って、お金を借りる(でも免許証(身分証明)も持っていない)

 

ここで私が選択したのは、やはり「1」の妻の実家に行くことでした。

私はカブリまくりのベスパで妻の実家へ向かいました。できる限りガソリンを温存するため、
信号ではエンジンを切りました。最高速度は50キロなので、あおられまくりです。それでもなんとか無事にガス欠にもならず、警察に止められることもなく妻の実家の前に到着しました。

 

実は私はこれまで、妻の実家に行く際はスーツか小ぎれいな格好でしか行ったことがありません。Tシャツ短パンひげぼうぼうの私は勇気を振り絞ってチャイムを鳴らします。

 

「ピンポーン」

 

奥から声がして、ドアが開きました。
そこには驚いたの妻のお母さんが、おまけにお父さんもご在宅でした。
妻はまだ到着しておらず、家の中へと通されました。外で待っていればよかった・・・と思ってもあとの祭りです。

 

一杯のお茶をいただき、この格好でご両親の家に来た理由を必死に説明しました。必死の説明のかいもあって、ご両親と和気藹々と世間話をしているうちに、ようやく妻の到着です。

 

私は妻から家の鍵と小遣い2,000円をもらい、ご両親にお礼を言って家を出ました。帰り道、無事給油を終え(オイルはスタンドで少量譲ってもらいました)自宅に帰りました。すでに午後6時近くです。自宅の駐車場は蚊が多く、夕方作業すると一匹/分の割合で蚊に刺されます。エンジン不調の原因がわからないまま、本日の作業は終了となりました。

 

部屋に戻り、袋に入れていた数個のメインジェットを見つめているうちにこんなもの作ってしまいました。

本日の成果はこれだけです。キャブセッティングは後日です。

 

 

メインジェットコレクションケース!!

#70〜#94まで一番飛ばしで一通り
そろってしまったメインジェット

怒りに任せて作ったジェットケース
アルミ缶に穴を開けたスポンジをはめました
蓋もあります
 

 

すっかりベスパの話からそれてしまって申し訳ありませんが、これも奮闘記です。

 

というわけで、本日の教訓

一、ちょい乗りでも免許は持とう!!(当たり前!)

ニ、少しはお金を持とう!!(高校生のときは、バイクのタンクに緊急用で100円玉貼り付けてました)
三、家の鍵も持とう!!

 

以上!

 

  


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