第六十二章  二次エアー



 

以前から「二次エアー」の兆候はあったんですが、最近明らかにその症状が出てきました。


二次エアーとは、キャブレター以外のところから空気を吸い込んでしまい、アクセルを戻した状態でもエンジンが回ってしまう状態のことです。

症状としてわかりやすいのは、走行中アクセルを戻しエンジンブレーキが掛った状態の時、マフラーからの排気音は、かなり回転が下がってから「パンパン」と音がします。しかし二次エアーを吸っている場合、アクセルを戻した直後から、マフラーからの排気音(パンパン)がします。それによりアクセルを戻してもなかなか回転が下がりません。

平地でわかりづらいときは坂道の下りで試してみるとはっきりわかります。

これはスロットルバルブがほとんど閉じて混合気が薄い状態でも、キャブ以外の隙間から空気を吸い込んでいるためにエンジンが点火してしまっているのです。

もうひとつの症状は、高回転域でのスピードが延びがなくなる。これも原因はキャブレター以外からエアーを吸っているので、混合気が薄い状態になるためです。

このふたつの症状が現れたら、ほぼ二次エアー吸引と考えていいと思います。

低回転での走行ではそれほど問題はないと思うのです(あくまで私の考え)が、高回転でエンジンを回した時には、通常より薄い混合気でエンジンが回っているため、最悪エンジンが焼きつく可能性もあります。

致命傷になっては困るので、どこで二次エアーを吸っているのか確認してみました。今回の作業で写真は撮っていないので、エンジンを組む前に撮った写真で説明します。私のエンジンはノーマルとは違うパーツですが、ノーマルの場合も確認する方法は一緒です。

  

@キャブレターとインテーク
 マニホールドのつなぎ目。

Aインテークマニホールドと
 エンジンのつなぎ目。
最も可能性が高いのは上記の二ヶ所が緩んでいる場合です。これを調べる時はまずエンジンをかけ、キャブレターを手でつかんで揺らしてみます。これでガタついたり、アイドリングの回転数に変化があればこの二ヶ所のどれかです。

この方法で試してみましたが、イマイチはっきりわかりませんでした。これ以外の確認方法では、線香や煙草の煙を近づけてみるというのもありますが、引火が怖いので私はNG。もうひとつ、ブレーキクリーナーを吹き付けてみるという方法があります。

私はそこまでするのも面倒だったので、最も疑わしい@の部分の増し締めをしたらあっさり直りました。

この二ヶ所を確認してそれでも二次エアーが治まらない場合、次に考えられるのは@とAに関わるパーツの破損(ひび割れなど)です。純正のインテークマニホールドでも接続箇所の剛性が弱く、ひびが入ったという話をよく聞きます。

次に怪しいのはエンジンとシリンダーを固定しているボルトの緩み、もしくはコイル側のオイルシールの劣化です。この場合はいずれもエンジンオイルが染み出している時が多いので、目視で確認できると思います。

   

コイル側のオイルシールです。

この写真はフライホイールを外し
コイルをはずした時に撮ったもの。
ここにオイルが染み出している時はこの黒いオイルシールを交換すれば収まります。交換は上の写真の状態までバラせば可能です。

それでもない場合・・・事態は深刻化していきます・・・最も恐れるのはココ。

   

ミッション側のオイルシールです。

この写真はクランクを外した時に
撮ったもの。
このオイルシールはクランクを割らないと交換できません。ショップで直すとたった数百円のパーツを交換するだけなのに工賃2万コース・・・

しかしこれが原因の場合は明らかに症状が違うと言われてます。

他の二次エアー吸引どころの騒ぎではありません。まずアイドリングがまったく落着かない。エンジンも掛りづらい。それとマフラーから白煙を吹きまくります。これはミッションオイルがクランクに入り込んでしまうために起こる症状で、比較的わかりやすいです。

と、二次エアーの原因を説明してきましたが、この他にもごくわずかですがキャブレターのアクセルワイヤーの隙間なんかからも二次エアー吸ってます。なにしろとんでもない流速で吸気してるわけですから、少しの隙間があれば二次エアー吸引は起こります。

はっきり症状が出た時や、簡単に作業できれば直してしまいますが、その他の場合は「いつかやろう」と放っておくのが実状ですね。


 

  


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