第六十八章 HPエンジン考察 ギア比について
前章でほぼバラし終わったHPエンジン。ビンテージシリーズと同じスモール系といえども、なかなか出回る事がなく情報が少ないエンジン。最も驚いたのはギアの歯数です。 4速ギヤのギヤ比とは・・・
一次減速が14/69で4.93。4速のギア比は1速:10/58(5.80)。2速:14/54(3.86)。3速:18/50(2.78)。4速:22/46(2.09)。この数字を見ただけでは何がなんだか分かりませんが、ひとことで言うとえらくギア比が低いんです。
一次減速のギヤ比とは・・・
大きいギヤの歯数を小さいギアの
歯数で割ると減速比がわかります。
写真は50Sのもの。
69枚÷14枚=4.928
減速比の算出方法は一次減速と
同じです。
各ギヤの組合せは左のように
なっています。
写真は50Sのもの。
まずはギア比がノーマルで6500回転(50Sのメーカー公称最高回転)での速度を見てください。
計算式[エンジンの回転数÷速度変数60÷一次減速比÷二次減速比×タイヤ外周長÷1000]で計算。
一次減速 | 1速ギア比 | 速度 | 2速ギア比 | 速度 | 3速ギア比 | 速度 | 4速ギア比 | 速度 | |
50S (6500回転) | 4.93 | 5.80 | 17.53 | 3.60 | 28.24 | 2.30 | 44.20 | 1.60 | 63.53 |
50HP (6500回転) | 4.93 | 5.80 | 17.53 | 3.86 | 26.34 | 2.78 | 36.57 | 2.09 | 48.64 |
50HPは6500回転では4速での速度が48km/hほどしか出ません。つまりかなりの高回転型エンジンと言うことになります。そこで最高速度を65kmとした時の回転数を逆算してみると・・・
65km/h×1000÷1.285×2.09×4.93÷60=8686回転
なんと約8700回転で回さなければなりません。正直信じられません。
まぁヘッド周りが全てアルミ製(50Sはシリンダーが鉄製)で出来ている。これは金属の膨張率を同一素材で組み合わせることで均等にしている事を考えると、高回転に対応した作りということになるんですが、まさかこんなに高回転で回るエンジンだとは驚きです。
これだけの回転数で走行してギア抜けしないとすれば、夢のようなエンジンですね。
と、ここで私がなぜ50HPのエンジンを入手したかをお話しすると・・・
1.ET3と同じクロスミッションが欲しかった。
2.クラッチの構成が違い、カチッと決まると聞いて見てみたくなった。
出来ることなら、自分のベスパにつけてみたい。
3.足腰が辛くなった時のためにセル付きの車体をキープして置きたかった。
こんなところでしょうか。(3は半分冗談ですが・・・)
正直、1の理由のためだけだったらET3のエンジンを手に入れれば、更なるボアアップをする場合、比較的簡単にスワップも出来て手っ取り早かったんですが・・・
50HPにはバッテリーが積んである為、このエンジンを今のベスパにスワップするとなると、バッテリー・セルつき12V仕様の配線を理解する必要があり、現在の私のスキルでは到底不可能と思われます。それとクラッチワイヤーが1本の謎も解けていません。
ということでまずは第一の目的。クロスミッションを現在のベスパに移植してみようと思います。その際、現在付けている一次減速3.7ではギア比が低くなってしまうため、入手可能な2.86または2.54の一次減速の購入を検討してみます。
そこで50S以外のスモールボディーのギア比を調べてみました。速度は全て6500回転です。
一次減速 | 1速ギア比 | 速度 | 2速ギア比 | 速度 | 3速ギア比 | 速度 | 4速ギア比 | 速度 | |
私の現在のベスパ | 3.72 | 5.80 | 23.23 | 3.60 | 37.42 | 2.30 | 58.57 | 1.60 | 84.20 |
台湾50SS | 2.86 | 5.80 | 30.21 | 3.86 | 45.74 | 2.78 | 63.26 | 2.09 | 83.34 |
90(3速) | 2.86 | 6.00 | 29.20 | 3.37 | 52.00 | 2.13 | 82.27 | ||
90SS | 2.54 | 5.80 | 34.02 | 3.86 | 51.52 | 2.78 | 71.23 | 2.09 | 94.40 |
125ET3 | 2.54 | 5.80 | 34.02 | 3.86 | 51.52 | 2.78 | 71.23 | 2.09 | 94.40 |
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