第二十八章 俊足ベスパ計画 その4 クランク加工



 

最後の難関「クランク加工」です。これをするとしないではパワーが変わると聞き、やることにしました。どうせクランクまでばらしたんだし。

なぜ難関かというと、手で持ってみてアルミと比べて明らかにごつい鉄。その硬さを知るために、電動ドリルで揉んでみました。結果は「か・・・硬い・・・」。一応鉄鋼用のドリル刃使ってますが、穴が空くのに一苦労。ドリルの刃が折れそうで怖いです。

ここはやはり「必殺サンダー攻撃!」しかないと思いました。せっかくサンダーも買ったことだし、今使わずにいつ使う!って感じなんですが、ひとつ問題があるのです。

それは、「サンダーはうるさい!


うちは普通の住居用マンションです。しかも閑静な住宅街。たとえ昼間でもこんな騒音出してたら、苦情が来そうで怖いです。近所で騒音を出しても怒られない電源のある場所を探しましたが、見つかりません。

ガソリンスタンドなどで電源を借りて作業させてもらうことも考えましたが、やったことのない作業なので何時間かかるかわからず、落ち着いて作業できそうにないので、どうしようか考えていました。

そこで
いろいろな工具を見ていて目にとまったのが、電動リューターに付属していた先端工具の「切断トイシ」です。

   

切断トイシです。

厚さ約0.5mmくらいのディスク状の砥石です。
超小型サンダーと言ったところでしょうか。

ディスク部分と軸部分は取り外せて、砥石が
壊れたら付け替えられます。

いかにも弱そうな砥石。どう考えても無理っぽかったんですが、試しにクランクに当てて削ってみました。

すると「なんということでしょう〜!」(大
改造!劇的ビフォーアフター風)

結構なスピードで削れるではないですか!サンダーに比べれば明らかに時間が掛りますが、サンダーのような勢いがないので、削りすぎてしまう心配もなさそうです。

 

さっそく、保護めがね・防塵マスク・手袋をはめて、切断に取り掛かりました。その際、クランクの軸受け部分(ベアリング部分)には削りカスが入らないよう、ウエスで塞ぎその上からガムテープで目張りしました。

加工に当たっては、マロッシキットについていた取説を参考に、マーキングしました。この加工によって、ロータリーバルブの切り欠きが増えることにより、より多くの混合気が取り込めるようになるようです。

   

マロッシの加工図

ロータリーバルブの切り欠きの左側を
約15mm削ればいいそうです。

一応、加工部分の取説も読みました。
原文といい加減な翻訳はこちら

しかし(株)ベスパで購入時、10mmくらい
でもいいと言われ、適当に決めました。

尚、このトイシで切断する場合の注意ですが、トイシの厚さが非常に薄い ため、切断中の溝に刃を斜めに入れると簡単に割れてしまいます。割れた破片は回転の勢いで飛び散ります。私は保護めがねと防塵マスクで、顔のほとんどが保護されていましたが、おでこに刺さると怖い(痛い)ので、帽子をかぶって作業しました。
幸い破片は当たらず痛くありませんでしたが、部屋で不審な格好で作業している私を見る、の視線が痛いです。

 

途中まで切断したところ

ディスクトイシの半径が小さいので一発で切断
することができず、2回に分けて切断しました。

これはあと半分残っているところです。

5枚付属していた切断トイシを3枚割ってしまい、残り2枚のところでようやく切断できました。

   

ようやく切断できた記念!

ここからは残った部分をリューターの先に
ヤスリなどをつけて削ればいいです。

仕上げに使う先端工具は、前回のポート加工の時と違い、粗い砥石でガンガン削ったあと、最後に前章で紹介した「軸つきスポンジ砥石」で滑らかにして仕上げました。加工にあたっては、切断前の端部の形状に習って、ほぼ同一の形状となるよう加工しました。

   

仕上後の加工部分

多少うねってるかもしれませんが、
私にしては快心の出来でした。


最後に加工前後の写真です。左は加工前。切断する部分がマーキングされています。

 
 加工前

 
 加工後

リューターでちまちま切断したので何時間かかることやらと思いましたが、意外にも約2時間の作業でした。

この加工をしているときに、たまたま父と電話で話すことがありました。最初に電話で話したのは妻で、その時にベスパをいじってるって話は妻から聞いたようです。

私に代わると「何いじってるんだ?」と父は聞き「ク・クランク・・・」と私が言ったら、大爆笑してました。「そんなことまでやってるのか」との父の言葉は、まるで息子の成長を喜んでいるようでした。(想像)

その、父は大型バイクを乗り回し、そしていじり倒し。私が生まれてからは不動車のモンキーなんかをレストアしてた時代がありまして・・・蛙の子は蛙って事でしょうか。

 

 

  


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